作業内容
修理対応者より
今回は、30年間以上使用しているマルニ木工のダイニングチェアの籐(ラタン)の破れの修理をしたいということで、いのくち家具をいつもご利用いただいているお客様からのご依頼です。
こちらのチェアは当店購入のチェアで、10年前にも修理を行わせていただいたものになります。経年劣化による破れで、全4脚を再度修理させていただきました。
修理をご相談いただいた理由を伺うと、「チェアの木部分はまだしっかりしているし気に入っているのでまだ使いたい。あと、前回の修理時にスタッフの対応がよかった。」とおっしゃっていました。
10年前の修理の際には、座面の張替えのみ行いました。
30年以上使用されて初めての背部分の張替えということで、籐の素材としての丈夫さは皆さんにもご理解いただけるかと思います。また、籐には丈夫さ以外にも様々な特徴があります。修理の紹介の前にその一部をご紹介します。
〈素材『籐』としての特徴〉
- ・とても丈夫:家具にかかる衝撃を柔軟に受け止める
- ・軽くて扱いやすい:木などの素材と比べて非常に軽く、家具の移動が楽ちん
- ・抜群の通気性:編み込みで構成されているため通気性が抜群
籐で作られたチェアは軽く、ご高齢の方などチェアが重く感じていらっしゃる方におすすめです。いのくち家具のお客様サロンには、籐製チェアにお座りいただけます。実際にご体感ください。籐の家具についてご要望があればご提案をさせていただきます。
また、今回のチェアの編み方はカゴメ編みで、修理では同じカゴメ編みで張替えを行いました。他にも編み方はたくさんあり、強度を増す目的で他の編み方に張替えも可能です。
〈籐の編み方とその特徴〉
- ・カゴメ編み
- 太い籐を用いたものは強度が強く座面に張ることができる方法。一般的にチェアに利用される編み方。
- ・四ツ目編み
- 細い籐を使うことで、きめが細かく縦横方向で隙間を空けながら平織のように編み込む方法。
- ・目積編み/網代編み
- 細い籐で隙間を空けず綾織りのように編み込まれ密閉度が高い方法。
ここからは今回の修理についてご紹介します!
今回はマルニ木工のダイニングチェア4脚の籐の背部分の張替えで、いのくち家具ではこのような籐の修理の際には、修理方法を2種類提案しております。
- ・色合わせを行い修理
- 費用:¥22,000(税込)〜、納期:約1か月
- →別途メーカーからの送料がかかります。
- ・色合わせを行わず修理
- 費用:¥17,600(税込)~、納期:約10日間
- ※1脚当たりの金額と納期です。
- ※当店へお持ち込みの場合の金額です。引取り配送をご希望の場合、別途料金がかかります。
色合わせとは修理家具の籐の色を再現し張替えることで製造メーカー(今回でいうマルニ木工)で張替えることになります。ただし、色合わせを行う修理は費用が高く納期に時間がかかります。
今回はなるべく早くの納期がご希望で、ご予算との相談もあり、色合わせを行わない形で修理を行いました。
実際の修理は下記のように行いました。
〈今回の修理内容〉
- ・籐の破れの修理
- ①背もたれの籐の枠部分のモールを専用の道具を使い取り外します。
- モール:籐シートのふちを背もたれの溝に固定している細い棒状の籐。
- ②外した後、溝の中のステイプル(ホッチキス)を取り除き籐を外します。
- 溝:背もたれに籐を固定するために付けられたもの。
- ③溝内の接着剤や残物を除去しクリアにする。
- 残物:溝の内側に張り付いた籐の繊維。
- ④新しい籐シートを実際より大きめにカットし、専用ローラーで溝の上を押さえながら型を付けていきます。
- ⑤籐の溝に接着剤を流し込み、新しいモールをあて木をしながら叩き込んでいきます。
- ⑥余分な部分をカットし、仕上げの接着剤を塗り最後に濡れた布で拭き取り仕上げます。
- →接着剤が乾くと白くなるので、乾かないうちに余分な部分を拭き取る。
修理後、お客様からは「しっかり修理されているので大変満足です。最近はこの様なデザインと、回転するチェアがあまり無いのでこれからも大切に使っていきます。」と嬉しいお言葉をいただきました。
今回のお客様は、納期と予算の都合で色合わせなしでの修理となりましたが、いのくち家具では、修理でご相談いただいた方には同等品の購入も選択肢の1つとしてご提案しております。家具への思い入れがあり、どうしても修理を行いたい方や予算を重視される方、日常に支障が出るのですぐに替わりの家具が欲しい方など様々な方に満足していただくために選択肢をご用意しております。
これからチェアやその他家具購入の検討されている方の家具選びのポイントや家具の修理を検討されている方のために今回の事例が参考になればと思います!
些細なお悩みでも構いませんので、家具のことならなんでもいのくち家具までご相談ください。